知の探究


             幼児教育の知を構築する視座を求めて
 
国による民主化から民による民主化成熟への道のりには、人間が生きることへの意味を問い、生きる価値の置きどころ、世代循環する場所(トポス)の文化の見直しが必要である。
 本シリーズでは、人間・学び・学校・社会という共同体のトポスに焦点を当てて、従来の就学前教育が子どもたちに当てた光を再考しつつ、これからの幼児教育の知を構築する視座を探究する


第1巻 「ナラティヴとしての保育学」 山内紀幸、磯部祐子
 
−保育において語るとは何か−
 それは日々生成される保育現実(アクチュアリティ)の「いま・ここ」を切り取る概念に深く関係する。本書は、従来の保育についての語りを整理し、近代科学的な知の枠組みを問い直し、保育の語りを再構築する試みである。

第2巻 「教育臨床への挑戦」 青木久子
 
−幼児教育において原理とは何か−
 本書は、その答えは示していない。むしろ、読者をその原理を織りなす根源への遡行に誘う。“生”という現象の多面的な視座の諸相を俯瞰する過程で、本質に立ち還るための確かな立脚点を探る試みである。

第3巻 「幼年教育者の問い」 青木久子、浅井幸子
 
−問いを問う−
 幼年教育者の専門性は、自ら主体的に課題を構造化し解決できるインテリゲンチィアとしての資質にある。実践者の課題意識を読み解き、その葛藤にも目を向け、実践と理論、対象と自己の結節点を構成する問いに迫る。


第4巻 「脱学校化社会の教育学」磯部裕子、青木久子
 
−教育学の遡源−
 教育が新たな道を模索して発する問いは、空間や時間を含めた学の位相や「生」の意味を構成する要素への問いである。その本源を見いだすために、われわれは一体、どんな答えを用意しようというのだろうか。


第5巻 「保育の中の発達の姿」佐藤公治
 
−人間発達にとって本質的な問いとは何か−
 それは“意味と価値”への問いである。人間発達の始原である保育・幼児教育の場で生成する事象を、古今の英哲とともに精緻に読み解く。キーワードは表現行為、パトスとロゴス、身体、想像、そして空間と時間である。

第6巻 「保育心理学の基底」石黒広昭
 
−保育心理学による保育実践研究への誘い−
 発達心理学は発達的な視点から人の心理を探る。これに対して、保育心理学は保育活動の中に生きる人々が置かれた現状を分析的に捉え、その発達を促す保育理論(caring theory)を志向する。


第8巻 「遊びのフォークロア」 青木久子 河邉貴子
 
−遊びの生起と現象−
 「遊び」
の生起とは何か。パトスとロゴス、リズム、身体、表現など、歴史的・文化的な変遷も含め、その本質を探る。現前の就学前教育・保育の現場での「遊び」を熟考し、伝承する恒真性(トートロジー)を見据える。

第11巻 「表現芸術の世界」 清水満、小松和彦、松本健義
 −生活・表現・芸術−
 私たちの今を生きる姿を捉えるとき、その現象を何とよぶべきであろうか。ある視点では「美」とよばれ、またいつ法ではそれを名づける概念をもたない。しかし、そこにはともに本質的な「生」の表現をみることができる。

第13巻 「幼児理解の現象学」 矢野智司
 
−子ども理解の臨界点と生命論的展開−
 人間と動物の境界線を越え、主体と客体、精神と身体、文化と自然、といったさまざまな境界線を越境する幼児の生命を語る言葉を求めて、知の遠近法=理解の外部へと向かう冒険

第17巻 「領域研究の現在<環境>」平山許江  
 −環境を生きる−
 
環境、それは何かしらの意味の存在を抜きにして、客観的には成立しない。主体が対象との間に“関係”を結ぶとき、はじめて意味が生まれる。個々人が異なる環境世界をもつなかで、子どもは環境を生きる。

第18巻 「領域研究の現在<言葉>」 青木久子、小林紀子
 −言葉の創生−
 われわれがなにげなく話している言葉は、どの様な意味の位相を定位しているのだうか。そのメタ言語的な文脈をも問いつつ、日本語の特性、共同体と語り、近代社会と教育の成り立ちを読み解き、その源を訪ねる。